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葬祭ディレクターのブログ

新人髙橋の葬祭ディレクターへの道#6

投稿日:2020年3月15日
スタッフのつぶやき

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おはようございます!エヴァホール大海新人の髙橋です!

今回は春のお彼岸についてお話させていただければと思います。

 

昔から、「暑さも寒さも彼岸まで」と言われるように、お彼岸は、季節の分岐点。厳しかった寒さが次第に和らいでくると、もうすぐ春のお彼岸です。

お彼岸は、「彼岸会」ともいわれ、日本では大切な仏教行事が行わる時期。この機会に、年の入った準備をして、ご先祖様を供養して差し上げましょう。

 

お彼岸の由来

日本で初めての「彼岸会」が行われたとされているのは、平安時代初期の八〇六年。肉親などの死など、周囲で不吉なことが相次いだ桓武天皇が、これは、無実の罪を着せられたと訴えつつ断食して命を絶った、弟の早良親王(崇道天皇)の怨霊によるものと判断。これを鎮めるべく諸国の国分寺の僧に命じて、春分と秋分を中心とした前後七日間、「金剛般若波羅蜜多経」を転読させたということが、「日本後記」に記されているのです。

また、「源氏物語」にも「彼岸」という言葉があるように、遅くとも平安中期の貴族社会では、その行事が行われていたと思います。

ところで、「彼方の岸」と書くように、「彼岸」は、向こう岸を指す言葉。つまり、仏様が住んでいるあちらの世界のことです。反対に、迷いや煩悩にあふれたこちらの世界を「此岸」と言いますが、その間には、川のようなものがあり、それが三途の川とされています。極楽(彼岸)と煩悩の業火が燃える苦の世界(此岸)があれば、誰もが極楽へ行きたい、早く彼岸に到達したいと願うわけで、その思いを表すのが「到彼岸」という言葉です。

「到彼岸」は、インドで使われていたサンスクリット語(梵語)では「パーラミータ」と言います。その語感からも判るように、「パーラミータ」を感じで表したのが「波羅蜜多」。つまり、「般若心経」に出てくる「般若波羅蜜多心経」とは、悟りの世界に至る智慧という意味であり、「般若心経」は、極楽浄土・彼岸へ行くことのノウハウ、教えが書かれたお経なのです。

さて、「悟りの彼岸」に至るためには六つの徳目(六波羅蜜)を修行しなければなりません。お彼岸の期間が七日間なのは、中日を挟んで一日に一つずつ修行して実践し、涅槃の境地に達するという意味なのです。

その徳目とは次の六つ

①布施:物を施し与え、法を説き、衆生の恐怖を救って心を救うこと

②持戒:戒律を守り常に反省すること

③忍辱:迫害に耐え忍ぶこと

④精進:ひたすら実践すること

⑤禅定:心を統一し安定して審理を悟ること

⑥智慧:道理を多d市区判断して命そのものを把握すること

 

西方浄土に通じるお彼岸

春の「お彼岸」は、ご存知のように春分の日が「お彼岸の中日」。これを天文学的に説明すると、地球の赤道を延長した天の赤道と、太陽の見かけ上の通り道である黄道が南から北へ交差したところを春分点(黄経0度)とし、そこを太陽が通過した瞬間を「春分」と言います。それは、二十四節気を決める際の基準点にもなるものです。

正確に言うと、多少のずれはありますが、春分(秋分)の日は、昼と夜の長さが同じになり、太陽が真東から昇って真西に沈みます。

この日が「彼岸の中日」とされた理由は、一つには、仏教にある中道の教えに通じるからです。

暑くもなく、寒くもない彼岸の頃は、季節的にはバランスの取れた時期。お釈迦様も、「我は中道を行く」として苦行を放棄して、悟りを開かれたそうです。

また、「彼岸」とは、浄土のことですが、これは「西方極楽浄土」という言葉もあるように、真西の方角にあるとされています。太陽が真西の方角に沈むこの日を「彼岸の中日」と定めたのは、その考えに基づくものなのです。

そうした仏教的な由来、意味合を別にしても、春であれば、冬の寒さも和らいだこの時期に、清々しい気持ちでご先祖様を思い、供養するというのは、四季のある国に住む日本人の感性として当然のことなのかもしれません。

 

お彼岸の準備と供養

「お彼岸」を迎えるにあたっては、まず、お仏壇や仏具のお掃除を。その宕、花や水、果物・菓子、精進料理、故人の好んだものの他、春の彼岸団子、すなわち牡丹餅を供え、お線香を上げて供養します。そして、「お彼岸」に入れば、家族が揃ってお墓参りをしたいものです。

お墓参りに持参するものとしては、ろうそく、お線香、ライター(マッチ)、お花、お供え物(お菓子や果物、故人の好物等)、半紙など。お花に関しては、土葬が主流であった昔は、動物除けなどの意味もあって、臭気の強いシキミ(シキビ)を供えていましたが、現在では、季節の花を供えることが多くなっています。

また、掃除道具も忘れず持参したいもの。お墓に着いたら、まず周囲を掃除して、墓石に水をかけて洗い流し、彫刻部分に溜まった細かい汚れは、ブラシなどで丁寧に落とします。また、水鉢や花立、香立は、ゴミが溜まりやすいので丁寧に。洗い流した後は、タオルなどで水気を拭き取るといいでしょう。

掃除を終えたら、花立に長さを整えた花を飾り、二つ折りにした半紙にお供え物を供えます。その後、ロウソクに火を灯し、お線香に火をつけて供えれば、準備完了です。

お参りは、故人と縁の深い人から順に。静かに合掌して、故人の冥福を祈りましょう。

また、菩提寺から僧侶をお招きし、お仏壇の前で読経していただく場合もあります。その際は、家族だけでなく、身近な親族にも集まっていただいて。さらに、菩提寺や近所のお寺で、「彼岸会」が催されている場合には、読経やご法話をいただいて、ご本尊に手を合わせるのもいいでしょう。

 

日本独自の文化を大切に

「春分」や「秋分」に相当する概念は、暦を持つ民族なら、どこにでもありますが、これを「お彼岸」という宗教行事に結びつけているのは日本だけ。つまり、「お彼岸」は、インドにも中国にもない、日本独自の文化なのです。

また、日本には、「緑の週間」や「愛鳥週間」など、様々な「週間」がありますが、「お彼岸」は、まさにこういった週間行事の先駆け。「お彼岸」の一週間に仏事を行うと、仏様の功徳があるとも言われています。

そこで、お墓参りには、是非、家族が揃って出かけてみてはいかがでしょう。特に小さなお子様などがいらしゃる場合、大人たちが、ご先祖様に手を合わせる姿は、大切な何かを伝えることになるのではないでしょうか。

今年の春は、三月十七日(火)が「彼岸の入り」で、二十日(金・祝)が「彼岸の中日」。二十三日(月)が「彼岸明け」となります。

 

今回はここまでです。皆さんも是非、お彼岸にお墓参りへ行って手を合わせて来てはいかがでしょうか。

それではまた次回の更新で!!